浄泉爺のブログ

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座布団の個性

座布団

 

座布団をご存じだろうか。最近はあまり使わないので、忘れ去られているかも知れないが。

 

座布団には大きく分けて二種類あるのだと思う。

 

一つはイスの上の置くタイプ。

 

もう一つは、床(通常畳)の上に置いて正座するタイプ。

 

畳の上に座布団で正座というスタイルはすっかりなくなったが、仏壇の前での読経は通常このスタイルとなる。 

 

座布団の個性

寺の坊主として過ごすようになって一年半、今更気が付いた事がある。今日はそのことをつらつら書こうと思う。自分で言うのもなんだが、結構深い。

 

寺の坊主としての話なので、ここで取り上げる座布団は仏壇前の座布団のことだ。お盆やお取越しで門徒様のお宅に伺うとき、仏壇前に大変立派な座布団が用意されている。通常時には、その座布団はどうなっているのか知る事はできないが、恐らく普段は大事にしまってあるのだろうと想像している。金色だったり、青っぽい色であったり様々な座布団がある。見た目については、色々あるが形としてはおおよそ次の三種類があるように思う。

 

1.分厚くて中心部分が盛り上がっているタイプ

2.比較的厚いが平らなタイプ

3.あまり厚みの無いタイプ

 

大抵、上記の1,2のパターンが多い。

 

さて、これからが本題だが、座布団には個性がある。それに気が付いた。皆さんはご存じだっただろうか?

座布団の個性

そもそも上記の種類分けによって、それぞれの座布団の特徴が有る。ただ、昨年はそういった事はあまり考えず座布団の上に正座していた。30分程度読経した後、足のしびれ具合、膝の痛み、腰の痛みはそれぞれだった。僕はそれを、ああ、ここの座布団はイマイチだったなとか、ここの座布団はとても座り心地が良いなといったそれぞれの感想をもってすごしていた。つまり、座布団の性能の問題としてこの問題を捉えていた。

 

しかし、今年、僕は気が付いた。例えば、上記の1タイプについても、それぞれ座布団には個性があり、それを私の方が掴んで、適切に座ってやれば実はどの座布団も座り心地が良いのだ。

 

結構微妙なポジショニングで、数センチ単位での調整が必要と思われるが、最初に座布団に乗る段階で、上体のバランスを意識しつつ、適切なポジションに座ることが大事だ。しかも、5分程度の正座であれば多少のズレがあっても、大してしびれや痛みに関係ないのだが、良いポジショニングがとれていない場合には15分程度から痛みや嫌なしびれが出てくる。そうなると、その後ポジションを微調整しても無駄で、状況はさらに悪くなる。

 

5分程度ではわからないと書いたが、これは結構大事なポイントで、座った瞬間の微妙なバランスを捉えないといけない。そういう違いに無頓着であると、恐らくずっと気が付かない。座布団の問題であると思い続けただろう。

 

基本的に、1タイプの座布団は苦手だった。ただ、たまに1タイプでもとても足が楽なことがあり、不思議に思っていたのだが、こちらのポジショニングの問題かも知れないと考え、毎回少しずつ研究をすすめた。

 

結果、1タイプの座布団はプロフェッショナル仕様であって、こちらがピンポイントでバランス良く座ると、しびれ具合は適度であって膝や腰の痛みは皆無になる。何も考えず、適当に座ると痛い目に遭うプロ仕様。そういうものであるというのが、現在の僕の理解である。2タイプも同様で、上手に座る必要がある。2タイプの場合、周辺部分が比較的固く、中心部分が沈み込む事が多い。よって、少し前側に座って縁をうまく利用するといった工夫が効果的だ。基本的に重心が後ろ寄りになると、膝の痛みが出る上に、足首の痛みも生じる。一方で重心が前よりになると、腰に負担が出るようだ。ただ、2タイプにはサイズが小さい物があり、膝と足先が座布団からはみ出るタイプがある。この場合どうしたらよいのかイマイチわかっていない。

 

3タイプの場合には、今のところあまりポジショニングについては違いは無いように思っている。もしかすると何かテクニックがあるかも知れないが、多分それは畳に直に座る場合とそうかわらないような気がする。ちなみに、僕の場合は畳に直に座ると足のしびれはかなりひどいものになる。

 

ところで、坊主は足はしびれないと思っている方がおられるようだがw、少なくとも僕はしびれる。痛くなることもある。それがわからないように振る舞うのがプロというものだろう。ただ、慣れてくるとそもそもしびれないのかもしれない。以前、ベテランの僧侶に聞いたところでは、ベテランでも足はしびれると言っていた。しびれなくなる人もいるのか?その辺りは、今後色々な人に聞いてみよう。

反省点

上記は、テクニック的には面白い部分もあるが、僕は次の点に反省点があると考えている。昨年の僕は、足の痛みやしびれがひどいのは、座布団の問題であると思っていた。しかし、今年気が付いた事から言えば、座布団は良い性能を持ちつつ、単に利用者である僕が無知であった為に本来の性能を発揮できていなかっただけだ。そう思うと、座布団に申し訳ない気持ちになる。

 

ここでは座布団の話だったが、座布団を人だと考えてみると興味深い。相手の問題だと思っていたが、実はこちらの問題であったという事は、実はしょっちゅうあるのだろう。