仕様が無い
仕様がないーー家で若い者に言っても聞いて呉れぬ。どうも仕様がない。仕様がないから仕様がないで終っては仕様がない。家の内では祖母さんが念仏に生きた。それが孫子供を育てる。その子供が、郷里の祖母に手紙を書いて「この手紙を読んでから送った小包を開いて下さい。祖母さんの一番好きな物を送ったよ。夏のカーテンを外して、下についている球をとり、数珠【じゅず】を二つ造り、できの悪い方は僕がとり、できのよい方を祖母ちゃんに送った。どうかこれでお念仏して下さい。僕も拝むから」。孫は念仏している祖母さんをちゃんと摑【つか】んでいる。母は孫が数珠で拝んでいる姿を偲【しの】んで家に仏壇のなかったことを恥じて、初めて拝む所をこしらえたという。言うようには聞かぬが、するようにはついて来るのだ。
如是我聞ー上山城主遺語ーより
しょうがないというが、仕様が無いと書くとは実は知らなかった。
この文章、どこかで聞いた話だろうか?40年前近くに書かれたものだが、物語風でもある。
言うようには聞かぬが、するようにはついて来る。
なるほど、そうかもしれない。仕様が無いと僕は何度言ってきただろうか。これからはあまり言わないようにしよう。