浄泉爺のブログ

浄泉爺の考え事を記録します(研究のこと、仏教のこと、教育のこと、ドローンとか)

除夜タイマーと除夜の鐘

除夜の鐘が近づいてきた。

 

最近は除夜の鐘は騒音と思う人もおられて(恐らく昔からおられたとは思うが、そんなことは少数意見だろうとして言わなかっただけだろう)、お昼に行う所もあるとか。そんなことがニュースになる(テレビはあまり見ないので実際には見ていない)。

 

さて、除夜の鐘の開始時間はさまざまなようだ。年が明けて打ち出すタイプや、新年0時に突き終わるタイプ。当山は後者で、12月31日の23時24分20秒から20秒間隔で突いていけば0時丁度に突き終わる。

 

以前は、本堂内にソロバンと紙を用意し、カウント係が時計を見ながら「ハイ!」と声を張り上げ、ソロバンを入れ、紙に正の字を書いていった。近所の方が来られたりして、甘酒を出したりそれなりに賑やかで、カウント係もつい気が抜けて、「ハイ!」を言ったか?正の字書いた?等の不安が生じ、最終的に本当に108回突けたか?となる状態が普通であった。それはそれで面白かった。

 

ただ、少子高齢化もあり、除夜の鐘への参加者が減り始め、カウント係確保も難しくなってきた。また、私が関係していた学部新設(明治大学総合数理学部)での教育の中に、スマホアプリ開発を入れようという話があったため、そもそも自分が作れないのはまずいだろうということで、確か2011年の12月28日頃から最初のバージョンを作り始めた。Objective-C という言語を修得する必要があり、他の言語でのプログラミング経験は長かったが、それなりに苦労した。当時は、そもそも開発したアプリを自分の iPad で動かすというだけの目的でも、アップルに開発者登録と年会費約1万円を払う必要があった(数年前から、自分の持っている iPad 等で動かすだけなら無料になった。AppStoreに並べるには今でも登録と年会費の支払いが必要。)

 

最初のバージョンは、今のようなグラフィックスを利用したものではなく、画面に残り回数や現在時間、突き始める時間、突く間隔などが文字表示されているだけのシンプルなものだった。それはそれで実用性は高かったので、そのプロトタイプを使って2011年12月31日の除夜の鐘は行った。もちろん不安があったので、ソロバンと正の字併用。

 

うまくいった。

 

パソコン内を探していたら、記念すべき Ver.1.0の画面があった。

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アプリは作れたし、あまりに完璧に動作したのでこれは全国に発信せねばと思った。しかし、AppStoreに載せるには審査等受ける必要があり、当時はまだ英語でのやりとりが必要で、それなりに敷居が高い感じはあった。しかし、これも学生に教える必要があるかもしれないと考え、実践せねば!とプロトタイプを年が明けてから多少の変更を加えてほぼそのまま申請した。結果、

 

リジェクト(却下)。

 

画面がしょぼすぎるというのがリジェクトの理由で、今でもそうだが、アプリの見た目をある程度のレベルにしないとリジェクトされる。ちなみに、当時は審査に出して結果が出るまで一週間くらいの時間がかかった(今は1日くらい)。その間、ドキドキして待ったが、まさかリジェクトされるとは思っていなかったので相当なショックをうけた。ちなみに科学論文も査読審査を経て論文誌掲載されるのだが、査読の過程でリジェクトとなることがある。おっと、開発したアプリを登録等するサイトに過去の記録があった。これだ、黒歴史

 

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さて、ショックであったが、やる気になった。そこで、アプリの見た目をよくする作業に入った。デザインの能力は無いので、テキトーに考えた。それはそれで結構楽しく、最初のバージョンから基本的なデザインは全く変わっていない。誰も言わないので自分で言うが、秀逸なデザインだと持っているw これが修正して見事 AppStore に並んだ Ver1.1 の画像。

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一応というか、当初から英語バージョンも同時に作成しており、それは現在も同じ。AppStoreも、英語環境で見ると英語の説明が出てくる。一番安い値段設定(日本円で現在は120円、当時は円高で確か80円程度だった)で売り出した。その後、毎年12月の帰省の頃にアプリの改良をして、自坊での除夜の鐘で試してからリリースというのを続けていた。何となく、年明けは無料セールとかやって、ダウンロード数が急増し、それが時間とともに指数減衰する事をみては、ああ、そういう感じかとそれなりにサイエンス的思考もした。ちなみに、広告モデルが普及して無料アプリが増えた結果、有料アプリを無料セールしても今はたいしてダウンロードが増えない。時代の変化だ。

 

この辺り、よく観察してブログに書いて下さった方がある。全く面識は無いが、親しみというか同じ波長を感じている。

blogs.alpha-com.co.jp

 

また、 #僧衣でできるもん  運動で有名な、へんもさん @henmority にも、以前からご活用して頂いている。このようにブログで積極的に利用を発信してもらえると、販売も伸びるのかもしれない。今後もお願いします。

henmo.net

 

さて、約100円という価格。そんなに高く無いが殆ど売れない。親戚の住職に、こんなの作ったから買ってくれといったら、無料じゃ無いと買わないと言われた。うむ。そこで、機能制限+広告という無料バージョン JoyaTimerS を後日リリースした。これは失敗だった。大晦日に売れるものも売れなくなり、無料でいいやとなったようだ。しかもこれが決定的に問題というか、わかってはいたことだが、広告モデルは頻繁に立ち上げるアプリでないと意味が無い。毎日立ち上げるアプリでそこに広告が出ればクリックすることもあるだろう。除夜タイマーは大晦日だけが勝負だ。広告収入はほぼ皆無である。ただ、広告モデルの仕組みや実装の仕方がわかった。知識は後日に力となる。

 

しかし、色々面白いことがある。海外で結構ダウンロードがある。AppStoreで公開しているアプリについては、どの国でダウンロードされたか等の情報を見ることができる。アメリカやイギリス、インドなどでダウンロードされる。恐らく、瞑想的な用途で使っているのだろう。

 

一方で、もしかするとお祈りを複数回するような宗教で活用されているのかもしれないと考えはじめ、それなら方向がわかるとよいだろうと考えはじめた。所謂キブラコンパス機能。例えばメッカの方向に向かってお祈りをしたいといったときに、メッカの方向を教えてくれる機能。これを実装した。これも全く意味が無かった。が、これも多くの知識を得た。マップの実装。コンパス機能。地球上の目的地点の座標と現在地座標から、方角を出す方法。GPSの利用など。これらも後日の力になるに違いない、恐らく。

 

とう変遷を経て、今日に至る。やはり使い方がわからないのか?便利さがつたわらないのか?そうか、それか。ということで、使い方ビデオを作成した。

 

 

最近は、ドローンを飛ばしてその動画にナレーションを入れたりしてたので、まぁ慣れてきたが、真面目に作ろう!と思うといつまでたっても作らないので、とりあえずバージョンとして作成して、さっさと公開した。より作り込んだバージョンを作るかどうかは、これから次第だろう。

 

ところで、最初のバージョンを作るときから参考にしているのが、iTunesU で公開されている Stanford 大学の iPhone Application Development CS193P という授業。

web.stanford.edu

この授業の講師が、Paul Hegarty という方だが、この方の教え方が大変私には合っていた。まぁ、見ればわかるが進み方はとてつもなく早く、前提知識が結構必要なので、全くの初心者には難しすぎると思われるが、色々参考になる。毎年新しい講義がアップされていたので、毎回見るのが楽しみで、未だに見ている。今年はあたらしいコースがないようで、少し寂しい。Paul Hegartyのやり方は大変参考になるので、自分が教えるプログラミングの授業でも手法をかなり真似した。例えば、その場で考え方を喋りながらコーディングするスタイル。コードを見てその意味を考えるのでは無く、考えをコード化するというのが実際のプログラミングだが、その方が当然実践的な知識が得られる。ただ、どうも何度か試したが、日本の大学生には受けが悪いようだった。

 

上記の Stanford での授業の様子を見るとわかるが、学生からしょっちゅう質問がある。彼らは真剣だ。なんとしてもここで技術を手に入れて、一山当てよう!という強い意思がある。だから、速い速度でも、高めの設定のレポート課題でもこなしていけるのだろう。個人的には、このような真剣さ漂うクラスの授業をやってみたい。もちろん、日本の大学でも人数は少ないがそのような学生もいる。実際、そういう学生は、ガンガンプログラミングができるようになる。ただ、もっと全体的に真剣度が高いクラスを担当してみたいとこの授業の様子を見ていて切に思った。

 

お、なんだか朝のツイートがバズってるかもしれない。朝の除夜の鐘がうるさい報道とかぶったのか。ここで一言いっておこう。

 

いいねするなら買ってくれ

 

冗談じゃ

 

ついでに、by Daishin Ueyama のアプリを紹介しておこう!

 

まずは本日の主役、 JoyaTimer。あえて無料バージョンは載せない。筋トレとかに使える可能性もあるので、お寺以外でもどうぞ。田舎の寺で頑張っていてお助けしたい!というありがたい気持ちからでも是非。感動します。

JoyaTimer

JoyaTimer

  • Daishin Ueyama
  • ユーティリティ
  • ¥120

apps.apple.com

 

続いて、これは JoyaTimer の次に作成したアプリで、科学者としての専門がパターン形成なので、それに関するアプリを作成したもの。これは教育関係ということもあって、無料。リリースからしばらくたって広告モデルを導入した。これも、殆ど収入には繋がっていない。

TheDLA

TheDLA

  • Daishin Ueyama
  • 教育
  • 無料

apps.apple.com

 説明はこちら。

sites.google.com

DLA(Diffusion Limited Aggregation の略)の英語版 Wikipedia のページの最後の方にある、TheDLAへのリンクは、自分で加えたものだ。Wikipedia の編集の初体験となった。

en.wikipedia.org

 

 

つぎに、がまん貯金。これはつもり貯金支援アプリ。Apple Watch連携をテーマに作成した。Apple Watch対応。シンプルで良いと思っている(自画自賛)。これも広告モデルだ。これはうまく行けばしょっちゅう立ち上げると思われ、期待しているが爆発はしていない、いまのところ。

がまん貯金

がまん貯金

  • Daishin Ueyama
  • ライフスタイル
  • 無料

apps.apple.com

 

 そういえば、一つ思い出した。上記の TheDLA をリリースした後に、

 

TheHanage

 

というアプリを申請した。冗談ソフトで、TheDLA で作成される枝状の模様を顔写真の鼻から下方向に伸ばし、鼻毛と称する下品なソフト。おならソフト(こういう冗談ソフトをそう呼ぶそうだ)は求めていないという返事でリジェクトされた。これは、謙虚に受け入れた。日の目を見なかった TheHanage のアイコン用画像が見つかった。載せておく。

 

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あ、利用中の画面もあった。これはひどい。リジェクトだ。

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ただ、これも当時の新設学部の宣伝に繋がるような受け狙いだったので、それなりに真剣ではあったのだが。


途中から調子が載ったのか、文面がかわってしまった。まあそれはそれでよかろう。 

 

そういえば、 WasPlaying というアプリもあったな。それはメンテナンスをやめてしまった。これは、テーブルビューという表示方法と、 iTunes music storeアフィリエイトに挑戦というものだった。少なくとも、これまで作成したアプリには自分なりの目標があって、それを達成してきた。

 

さて、除夜の鐘。浄泉寺では昨年から境内にキャンドルを並べて、キャンドルナイト除夜の鐘を除夜タイマー利用でやっています。Facebookイベントで登録してあります。詳しくは浄泉寺のFacebookページよりどうぞ。

www.facebook.com

 

そういえば、最後に追記。JoyaTimer では3種の音が選べるが、3番目の音は浄泉寺の鐘の音。聞いてもらえばわかるが、音が悪い。二つの理由がある。一つはそもそもヒビが入っている。よって音が悪い。もう一つは、戦争の時に寺の鐘は当時の鉄不足を補うために徴収された。運良く戻った鐘もあるようだが、浄泉寺の鐘は戻らず、戦後の貧乏な時代に作り替えた。あまりよい品質のものではなく、よって音が悪い。そういう歴史もあるので、この鐘は捨てはしないが、よい音色の鐘にいずれは換えたいなと思っている。

 

 南無阿弥陀仏